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【初心者必見】夜にCO₂を吸収する?CAM植物の秘密と育成ポイント



 

 

はじめに

多肉植物やサボテンは夜に呼吸してるらしい?」

「夕方~夜の水やりがいいって本当?」

 

——こうした疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

 

実は、サボテンやベンケイソウ科の多肉植物、ユーフォルビアの一部などには、「CAM型光合成(ベンケイソウ型有機代謝)」という特殊な仕組みが備わっています。

 

本記事では、

インスタ投稿でご紹介した「CAM植物」の育成ポイントを、さらに詳しく掘り下げて解説します。

 

ブログならではの追加情報や注意点も含め、夜の水やりや湿度管理などについて整理していきましょう。

 

最後には参考文献も載せていますので、深く学びたい方はそちらもあわせてご参照ください。

 

 

 


この記事を読んだら分かること

  • CAM植物が夜にCO₂を吸収する仕組みの概要

 

  • 1日の中でCO₂吸収がどのように変化するか(4フェイズの解説)

 

  • 多肉・サボテンなどを効率的に育てる際に意識したい温度や湿度、光のポイント

 

  • 夜間水やりのメリット・デメリット、実際の栽培での活用方法

 

  • CO₂濃度を高める方法と注意点

 

これらを知ることで、

CAM植物の夜型ライフサイクルを理解し、より元気に育てるためのヒントを得ることができます。

 

目次

 

 


1. CAM植物って何? 〜夜にCO₂を吸収する不思議な仕組み〜

まず、

「CAM(ベンケイソウ型有機代謝)」とは何なのかを簡単に押さえておきましょう。

 

植物の光合成は大きく3タイプ(C3、C4、CAM)に分けられますが、

CAM型光合成を行う植物は、夜間に気孔を開いてCO₂を取り込み、昼間は気孔を閉じながら体内に蓄えたCO₂で光合成するというユニークな特徴があります。

 

これによって、昼間の高温・乾燥環境で無駄に水分を蒸発させることなく、夜の涼しい時間帯に効率的に呼吸(CO₂の取り込み)ができるのです。

 

多肉植物やサボテンが、水分の少ない過酷な地域で逞しく生きられるのは、この仕組みのおかげでもあります。

 

 

  • ポイント:昼間に気孔を閉じ、水分を失わずにすむ → 乾燥に強い

 

 


2. 1日の流れ:4つのフェイズ(Phase)

CAM植物の1日のCO₂収支は、しばしば以下の4つのフェイズに分けて考えられます。

 

  1. フェイズ1(夜間)
    • 気孔を開き、CO₂を大量に取り込む。
    • 夜の間に「暗反応」の一部が進行し、有機酸としてCO₂を蓄える。
  2. フェイズ2(早朝)
    • 夜明け直後、わずかながらCO₂を取り込む時間帯。
    • 朝日に照らされて光合成のウォーミングアップが始まる。
  3. フェイズ3(昼間)
    • 気孔を閉じ、外部からのCO₂吸収はほぼ停止。ただし、体内に蓄えたCO₂を利用した光合成は活発。
    • 35℃前後で光合成がピークになるという報告も。
  4. フェイズ4(午後後半)
    • 夕方〜夜にかけて、もう一度CO₂を取り込む場合がある。温度が20℃前後で吸収ピークとの報告も。

 

夜が主戦場とはいえ、朝や夕方にもCO₂のやり取りがあるのがCAM植物の面白いところです。

 

 

 


3. 夜間に着目! フェイズ1でのCO₂吸収が鍵

夜間のCO₂取り込み

昼間に強い光をしっかり当てておくと、夜のCO₂吸収量が増すとされています。

 

これは「昼の間に光合成エネルギーを蓄えておくことで、夜間の代謝が活性化する」ためです。

 

さらに、夜の温度が20℃前後だと吸収量がピークになり、25℃を超えたり15℃を下回ると吸収量が落ちるとの研究報告もあります。

 

 

13時間ほど吸収し続けるケースも

ファレノプシス(洋ラン)を題材にした研究では、13時間ほどCO₂を取り込み続けるという例が観察されています。

 

あくまで特定の研究条件下での話ですが、夜の間にしっかり暗期をとらせて、適温をキープすることが重要と言えます。

 

 


4. フェイズ2〜4も見逃せない

早朝(フェイズ2)

夜明け直後にわずかなCO₂吸収を行うとされます。大きな吸収量ではありませんが、朝日を浴びることで光合成の準備を整える時間帯と考えるとよいでしょう。

 

昼間(フェイズ3)

日中は気孔を閉じ、外部からのCO₂吸収は停止状態。

 

ただし、蓄えたCO₂を使って光合成自体は盛んに行われるため、強い光があるほどエネルギーを効率よく作れます。


35℃付近で光合成のピークに達する例もある一方、あまりに高温すぎると葉焼けなどのリスクもあります。

 

バランスを見て光量や遮光を調整しましょう。

 

夕方〜夜(フェイズ4)

温度が20℃前後に落ち着くと、再度CO₂を取り込む可能性があります。

 

35℃以上になると急激に吸収量が下がるという報告もあり、昼間ほど強い光がなくても追加CO₂をゲットできるタイミングとして捉えてください。

 

 


5. 成長を加速させる4要素

CAM植物の成長をアップさせるには、CO₂取り込みをいかに増やすかがポイント。以下の4つの要素を意識しましょう。

 

  1. 温度
    • 昼間は光合成を盛んにするために高めに、夜間は20℃前後を目指すと吸収量UP。
  2. 光の強度
    • 日中は強光(600μmol/m2/s以上)を目安にし、十分なエネルギーを供給。
  3. CO₂濃度
    • 1500ppmを超えても吸収量が増え続ける例がある。CO₂発生剤などを導入する手段も。
  4. 湿度
    • 研究によると湿度70%ほどが理想。完全な乾燥状態ではなく、程よい湿度をキープ。

 

 


6. 夜灌水のすすめ? 水やりタイミングに関する考察

夜の気孔オープンに合わせる

夜に気孔を開くCAM植物に対して、夕方~夜の水やりを推奨する説があります。

 

気孔が開いているタイミングで水分を与えると、根や気孔からも効率的に水分を取り込む可能性があるためです。

 

ただし環境・季節によるリスクも

一方で、真夏の夜に気温が十分下がらない「熱帯夜」の状態だと蒸れやすく、真冬の場合は冷えすぎにより根がダメージを受ける場合も。

 

必ずしも夜灌水がベストではなく、育成環境や季節に合わせて朝や昼の水やりを選択する方法も考えられます。

 

自分の植物や気候に合わせて試してみるのが賢明です。

 

 

 


7. CO₂濃度を高めるには?

夜間のCO₂濃度を上げれば吸収量がさらにUPする可能性があります。

 

たとえば1500ppmを超えても吸収量が増えるというデータがあり、DIYでCO₂発生剤や密閉環境(テラリウム)を活用する手段も。

 

ただし、酸欠や高湿度になりすぎると病害虫のリスクが高まるため、定期的な換気は必須です。

 

 


8. フェイズを意識した育成と注意点

  • フェイズ1(夜間)の長さ:夜間CO₂吸収がメインなので、暗期をしっかり設ける。

 

  • フェイズ3(昼間)の光合成:強光でエネルギーを蓄え、夜の吸収をサポート。

 

  • バランス重視:フェイズ4を長くしすぎると夜間(フェイズ1)が短くなるなどのデメリットがあるため、1日トータルのリズムを観察しながら調整。

 

 


9. 結論

  • CAM植物は夜にCO₂を吸収するため、夕方~夜の始めに水やりすると効率的に水分が行き渡る可能性がある。

 

  • 昼間の強光と適温管理光合成を最大化し、夜間は20℃前後にキープできるとCO₂吸収量が増す。

 

  • 湿度70%前後CO₂濃度の向上なども成長促進の要素だが、環境に合わせたカスタマイズが必須。

 

  • 最終的には自分の植物をよく観察し、夜灌水や朝灌水を状況に応じて使い分けるのがベスト。

 

 


10. まとめ & 今後の展望

CAM植物の育成を成功させるには、「夜間のCO₂吸収を最大限サポートする」ことがポイントです。

 

理想論でいえば、昼間に十分な光とほどよい高温環境を与え、夜は温度と湿度を適切にコントロールしながら水やり&CO₂供給を行うことが理想的。

 

とはいえ、現実的にはすべてを完璧に管理するのは難しいでしょう。

 

大切なのは、植物の状態を観察しながら、環境に応じて試行錯誤を繰り返すこと

 

夜間水やりを試して反応がいいようなら続ける、調子が悪いなら朝に戻す——といった具合に、柔軟に対応していきましょう。誰もが同じように育つわけではないからこそ、育成の楽しみも大きいはずです。

 

 

 


参考文献

夜に気孔を開くというロマンあふれるライフスタイルを持つCAM植物。ぜひ皆さんも、その不思議な仕組みを活かしてイキイキと育ててみてくださいね。

 

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