「室内管理の湿度どうすればいい?」
と疑問に思ったことありませんか?
冬は乾燥します。
乾燥は植物の大敵。湿度を上げると言ってもどれくらいがベストなのか?
この疑問にお答えします。
最後まで見ればあなたの環境が間違っていないかが分かります。
早く結論を知りたいひとのためにまず結論を言うと以下のような湿度がいいと思います。
CAM植物のベストな湿度、飽差値はこれです。
- 20℃以下のとき:飽差5.2g/㎥ぐらい
- 20℃以上のとき:湿度70%ぐらい
※あくまでも、論文を読み解き考えた値です。実際は植物の状況を確認しながら湿度を調整してください。
目次
いきなり飽差とかあまり聞いたことのない言葉を使ってすみません。
順に説明していきますのでご安心ください。
1. 湿度とは
湿度(しつど、英: humidity)とは、大気中の水蒸気量(いわゆる「しめっぽさ」)を表す数値である。
ウィキペディアで調べると上記のように書かれています。
空気に含まれる水分量のことを湿度と呼びます。
そして、%(パーセント)で表せる湿度は「相対湿度」と呼ばれるものになります。
これは、
ある気温における飽和水蒸気圧に対する実際の空気の水蒸気分圧の比となります。
温度によって相対湿度は変化します。
温度が高いと水分を多く含むことができ、温度が低いと水分を含むことができる量は少なくなります。
そのため、
温度が変わると湿度も変化します。
湿度計をみると昼は低く、夜が高くなるのはこれが原因となっています。
同じ水蒸気量であれば、温度が変わると湿度も変わります。
2. 飽差とは
「飽差」とは、1立方mの空気の中に、あと何グラムの水蒸気を含むことができるかを示す数値です。
具体的には、空気中に含むことができる水蒸気の最大量(飽和水蒸気量)と空気中の水蒸気の飽和度の差分をいいます。
簡単に言うと、飽差は空気がこれ以上どれだけ水分を吸収できるかを表します。湿度が高いと、空気中の水分が多くなり、空気がこれ以上たくさんの水を保持できない状態に近づきます。このとき飽差は小さくなります。逆に、湿度が低いと、空気がもっと水分を吸収できる状態であり、飽差は大きくなります。この飽差を理解することは、植物が水分をどのように吸収し、放出するかを調節するために非常に重要です。
飽差が高い→空気の水分が少ない→乾燥している
飽差が低い→空気の水分が多い→湿っている
2.1 飽差が植物に与える影響
植物は葉の気孔を通じて水蒸気を放出することで蒸散作用を行い、この過程は植物が水分と栄養素を根から吸収し、全体に運ぶのを助ける重要な役割を果たします。
飽差は、植物がどれだけ積極的に水蒸気を放出し、どの程度の水分を根から吸収する必要があるかを示す指標として機能します。適切な飽差のレベルを維持することで、植物は効率的に水分を管理し、光合成や栄養素の吸収を最大化することができます。
・飽差値が大きすぎると
植物は自己防衛のために、気孔を閉じる。気孔を閉じるとCO2を取り込めない、また、水分が蒸散しないため根からの吸水をしなくなります。
・飽差値が小さすぎると
空気中に水分が多いため、気孔は開いていても蒸散が起きません。そのため、根からの吸水をしなくなります。
2.2 植物種別の理想的な飽差レベル
植物の種類によって、適切とされる飽差のレベルは異なります。
熱帯植物や多肉植物のように、自然環境で高湿度の状態に適応している植物は、低い飽差の条件下で健康的に成長します。
一方で、乾燥地帯に自生する植物は、高い飽差を好む傾向があります。室内植物育成においては、これらの特性を考慮し、各植物種にとって理想的な飽差レベルを提供することが重要です。
飽差の管理は、植物の水分バランスを最適化し、健康的な成長を促進するために不可欠です。湿度と飽差の関係を理解し、適切な湿度管理を行うことで、植物は最適な条件下で生育し、繁栄することができます。
3. アガベ、サボテンの最適な飽差レベルを考える
最適な環境作りのために、この章ではCAM植物(アガベ、サボテン)に焦点を当て、最も成長する飽差レベルの考察を行います。
「CAM型植物であるファレノプシスのCO2吸収の様相」という論文に基づくと、ファレノプシスは以下の温度で最も二酸化炭素を吸収しました。
- 夜間の温度が20℃で湿度が70%
- 昼間の温度が35℃で湿度が70%
この条件から導き出される飽差は、夜間約5.2g/㎥、昼間約11.9g/㎥です。
下記の飽差表から読み取ることができます。
出展:飽差とは? ハウス栽培に欠かせない指標を知り、収量アップを実現!
CAM植物は昼間、気孔を閉じることで水分の損失を抑えるため、二酸化炭素の吸収は夜間に集中します。
この生理的特性から、夜間の飽差がCAM植物の成長と光合成の効率に大きく影響を与えると考えられます。
論文の研究結果を踏まえると、夜間に約5.2g/㎥の飽差を維持することが、CAM植物にとって理想的な環境を提供するための重要な指標となると予想されます。
- 20℃の時は70%
- 15℃の時は60%
これぐらいを狙うと良さそうですね。
昼間に関しては、
11.9g/㎥と比較的に乾燥気味でも問題ないようです。
昼間の湿度はそこまで意識しなくてもよいかもしれません。
育成環境を作る時に、温度によって湿度は変化するため、湿度のみを目標にするとどうしても無理が出てきます。飽差の数字を基準に育成環境が乾燥気味なのか、湿度多めになっているのかを考えることがベストな環境を作る一歩となります。
注意してほしいことは、
この章で示した、飽差の数値はあくまでもファレノプシスの研究結果のみを利用して算出されています。その他の種類の植物だと数値が変化してくると思われますので、厳密に数値を狙い過ぎる必要はなく、植物の状態と湿度の状態を考えながら日々変化を確認して独自の育成環境を作ってください。
アガベ、サボテンの湿度まとめ
CAM植物のベストな夜間の湿度、飽差値は以下のように狙うといいと思われます。
20℃以下のとき
飽差:5.2g/㎥ぐらい
20℃以上のとき
湿度:70%ぐらい
※あくまでも、論文を読み解き考えた値です。実際は植物の状況を確認しながら湿度を調整してください。
以上、CAM植物の湿度に関しての考察でした。
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