「植物育成ライトで本当に成長するの?」
「太陽光が一番成長するよね?」
このようなことを考えているひとが多いと思います。
今回は光が植物にどのような影響を与えるのかを調査しました。
参考にした文献は下記の本が中心です。専門的すぎて難しい箇所もありましたが本のタイトル通り何が植物の中で起こっているか分かりやすかったです。
今回は光と植物の成長について書いていきたいと思います。
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目次
光の波長とは
いきなり難しい話ですみません。。。
難しいと感じるひとは、サラっと見るだけで大丈夫です。
光で検索して分かりやすい説明をしているサイトがあったので抜粋してきました。
↓
太陽の光や照明の光など、いろいろな光があるよね。そんな光とは、「電磁波(でんじは)」とよばれる、空間を伝わっていく「波」の一種なんだ。そして、光は人間の目ではとても見えない、小さな「粒(つぶ)」でもあるんだ。光の粒は「光子(こうし)」とよばれていて、光が明るくなるほど光子の数が多くなるんだよ。
ちなみに、光は波の長さである「波長(はちょう)」の長さによって、目に見える色が変化するんだ。さらに、光には目に見える光と、見えない光があるんだ。目に見える光は「可視光線(かしこうせん)」というんだ。目に見えない光には、日焼けのもとになる「紫外線(しがいせん)」や、テレビのリモコンなどに使われる「赤外線(せきがいせん)」などがあるよ。
ここに書いてあるように光は電磁波の一種で、光の粒が波うって進んでいます。抜粋の図のとおり、その波の種類によって色が違って見えます。エネルギーの量も違います。
太陽光
太陽によって地球にはいろいろな波長をもった光の粒が地表に降り注いでいます。
人の目が感知できる波長の範囲は上図の点線の間の範囲となります。だいたい380~750nmです。
植物が光合成に使う波長は400nm~730nmと言われています。
植物はどの光スペクトルを使用するのか?
太陽光のそれぞれの波長の光が植物にどのように作用しているかについて簡単に説明します。色素の名前等カタカナの難しい名前が出てきますが、なんとなく読み進めて下さい。今後詳細な内容を書いていきたいと思います。
■紫外線(10~400nm)
紫外線は、UV-C(波長280nm未満)・UV-B(290〜315nm)・UV-A(315〜400nm)・の3種類に分類されます。
UV-Cは植物には有害です。
UV-Bはまだ解明されていないそうですが、赤/遠赤色光受容体による徒長抑制の働きを促進する効果があるとの報告されてるみたいです。
UV-Aは茎の徒長を抑える働きをすることに使われます。また、花芽の形成を促進したり、アントシアンという赤紫色の色素の合成を促進することがあるそうです。(1)
■青色光(430nm-450nm)
クロロフィル(下図参照)が光合成をするときに使用します。その他にも、植物の光センサーの役割をする色素であるクリプトクロム、フォトトロピンもこの波長を使います。
クリプトクロム(下図cry)の働きは光形態形成と体内時計の時に使われます。
フォトトロピン(下図phot)の働きは光屈折、葉緑体の定位運動、気候開閉の時に使われます。
■緑色光(500nm-550nm)
強光下では、効率よく光合成を駆動するのは、緑色光と言う説もあるみたいです。簡単に言うと80%は反射されるが残りの20%は葉の中に入り裏側の葉緑素まで届けることができるからです。「緑は光合成では使われない」は間違いで、強光下では緑光が多くなる方が光合成速度は上がります。7割程度は吸収するみたいです。参考文献(3)(4)(7)を参照。
■赤色光(640nm-680nm)
クロロフィルが光合成をするときに使用します。他にも、植物の光センサーの役割をする色素であるフィトクロムも使います。
フィトクロム(下図phy Pr)は光発芽、光形態形成、光習性の時に使われます。
■遠赤光(730nm)
730nmの波長は光合成の有効範囲外ですが、フィトクロム(下図phy Pfr)の遠赤色吸収型に対して最も強い作用があり、赤色吸収型に変換されます。
遠赤は赤色光を対で働きを行います。遠赤は葉では吸収されずに透過していきます。遠赤の割合が赤色よりも大きくなると植物は他の植物の陰にいると判断して茎を伸ばしてしまいますので徒長します。なので、赤色とのバランスが重要です。
また、花芽形成において重要な働きをします。
光スペクトルのまとめ
これで植物がどの波長を使うかは理解できたと思います。植物全般的な話ですが、多肉植物、塊根植物にも通用すると思われます。
太陽光の波長ほぼ全部使っています。
あくまでも私の見解ですが、重要度は下記のようになると思います。
赤、青 > 遠赤 ≧ 紫外線UV-A ≧ 緑色
また、それぞれのバランスが重要になってくると思います。
それぞれの波長の割合に関して
植物の成長には、赤色光と青色光の割合をPPFD比で7:3~9:1程度にするのがもっともよいとされているそうです。(2)
赤と遠赤のバランスは赤が大きい必要があると思います。ただ、どれくらい強い方がいいのかは調べたけど分かりませんでした。勉強中です。(分かり次第更新します。)ただ、遠赤色が多いと徒長の原因となります。
植物は発芽、花芽形成(開花準備)など状態が変化する時に必要な光は変化します。それについては今後書きたいと思います。奥は深いです。
植物育成LED選定時に考慮すること
今回は光スペクトルについてまとめました。が、植物育成ライトを選定するときには必要な波長があっても光の強度も重要になります。そのことも踏まえてまとめると以下のようになります。
植物育成LEDを購入する時は、
分光スペクトルが公式に提示されている商品を購入することが望ましいと思います。安心して購入できるので。
分光スペクトルがフルスペクトル(赤と青の波長のみでなく連続して光がある)であることが良いと思います。できればUV-A、遠赤光(IR)もあるといいです。
演色性(Ra)については植物を見るときには高い方がいいかもしれませんが、育成を重視する場合には演色性が高いだけでは判断できません。必要な波長がバランス良くあるかの方が重要です。演色性の値が同じでも波長分布は違ってくるためであり、分光スペクトルを確認することが重要です。
あと、注意として照度(Lux)は植物にはあまり関係ないと思います。重要なのはPPFD(光合成光量子束密度)です。簡単に言うと照度の数字が大きいと人間の目で見て明るいと感じます。植物はPPFDが大きいと光合成を多く行います。
照射面積に関しても注意しましょう。
特にランプ型の商品では、強く照射される面積の情報もあるほうが望ましいです。 ランプ型は照射面積がフラットタイプのライトより狭くなってしまうためです。これは私が買った商品で感じたことです。多くの植物を育てる場合はフラットタイプの方が良さそうです。少ない場合はランプ型でも十分だと思います。
電力もあまりあてにしない方が良いと思います。LEDチップそれぞれに発光効率が違うためです。
まとめ:育成育成ライト購入時に考慮すること
・分光スペクトルが公式に提示されいること
・フルスペクトルであること(緑も必要なため)
・できればUV-Aもあること
・できれば遠赤光(IR)もあること
・照度Lux、演色性(Ra)はあまり重視する必要なし
・PPFDの値が重要(より多く光合成をさせるため)(600μmol/m2/s以上を目標)
・照射面積も確認する
植物の成長を優先する場合は、PPFDの大きさと波長分布のバランスを見て植物育成ライトを購入することが望ましいです。
これを踏まえて市販の植物育成ライトを選定した記事もあります。
購入を考えているかたは参考になると思います。
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参考文献
(1)植物の生長に紫外線や赤外線は有益か有害か、必要か不必要か。 | みんなのひろば | 日本植物生理学会
(2)https://www.ushio.co.jp/jp/technology/lightedge/201203/100437.html
(3)https://jspp.org/pcp/photo_gallery/back_number/year/detail.html?id=154
(4)https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=1855
(5)https://www.gardenmyths.com/led-grow-lights-color-spectrum/
(6)https://www.ccs-inc.co.jp/natural_lights/
植物育成ライト購入レビューは下記の記事にあります。
この記事を書く前に購入したライトの詳細は下記に記載しています。