最近見つけた論文に意外なことが書かれていました。
その論文名は
【パインアップルのCAM型光合成に関する研究】
結論
短日条件(日照10時間)が二酸化炭素吸収量が最大となる
ですって!!
イメージは長い方がいいと思ってましたが。
違うみたい。
30年以上の前の論文です。
ここから新たな説が出てなければいいのですが。。
探してみましたが見つかりませんでした。
以下にもうちょっと詳細に記載していきます。
目次
論文内容
論文の内容はパインアップルで日長、土壌水分量、窒素濃度について光合成に及ぼす影響を調査しています。
以下、抜粋内容。
日長とCAM型光合成の関係をとりあげ, 日長と日射量の両面から光環境の問題に検討を加えた。CAM型光合成は, 乾燥地適応型炭素獲得系と考えられることから, 土壌水分条件とCAM型光合成の関係について調査した。また, 近代農業技術の基本ともいうべき窒素栄養の問題をとりあげ, 根圏と葉内の窒素濃度がCAM型光合成に及ぼす影響を調査した。
「まず説明に入る前にCAM型植物とは」ですが、
下記の記事で触れていますので初耳の方は参照下さい。
【知らないともったいない】サボテン・多肉植物・塊根植物の成長を加速させる方法 - And Plants
日照時間について
日照時間確認結果の抜粋。
日長がCAM型光合成に及ぼす影響 パインアップルのCAM型CO_2交換は, 短日条件下で活発になった。短日条件下においては1日のCO_2収支が増大し, この増大はphase 1のCO_2収支の増大を通して行なわれた。長日条件下においては, phase 4でのCO_2吸収速度が活発になったが, 1日のCO_2収支は低下した。短日条件下におけるCO_2吸収の増大は, phase 1における葉内のCO_2固定能力の増大に由来していることが明らかになった。
実験は以下の条件で比較試験を実施。各条件での二酸化炭素の吸収量を測定している。
- 短日条件:日照10時間
- 中間条件:日照12時間
- 長日条件:日照14時間
この条件の比較で最も二酸化炭素を吸収した条件が短日条件となったとのことです。
短日条件だと夜間の二酸化炭素の吸収が最大になるためです。
土壌水分量
土壌水分量についての結果の抜粋。
土壌水分がCAM型光合成に及ぼす影響 パインアップルは, 他の植物では萎凋を生じ枯死にいたる, 初期萎凋点や永久萎凋点の土壌水分下でも, 正のCO_2収支を示し, 極めて耐乾性にとんでいることが認められた。水利用効率を表す蒸散比も, 20∿150と小さく, 水利用効率の高さも明らかになった。しかし, 1日のCO_2収支の最大値は生長有効水分域(pF2∿3)で得られ, パインアップルの生育を旺盛にするためには, 適当な土壌水分の維持が必要であることが明らかになった。
水分量に関してはCAM型植物はイメージとは違い、
適当な水分があると生育が旺盛になる。
pF2~3と言う結果になっている。
※pFの目安
pF0~1.5までがWet
pF1.5~2.2までがMedium
pF2.2以上がDry
pF1.1~1.3のように過湿条件ではCO2吸収が少なくなる。
窒素濃度
窒素濃度についての内容抜粋。
窒素栄養がCAM型光合成に及ぼす影響根圏の窒素濃度を277ppmに維持したとき, 1日のCO_2収支は最大となった。1日のCO_2収支は, 葉身の全窒素含量, 可溶性タンパク, クロロフィル含量と正の有意な相関を示していた。また, 1日のCO_2収支に占めるphase 1のCO_2収支割合, つまりCAM性も葉身の全窒素含量と正の有意な相関を示していた。窒素栄養の改善にともなうCO_2収支の増大は, phase 1のCO_2収支の改善を通して行なわれることが明らかになった。5.パインアップルの物質生産の制御とその限界 CO_2収支からみたパインアップルの物質生産の改善の方向は, そのCAM型炭素フローの特性から, phase 4のCO_2収支の増大を通して成されるべきであろうと推論された。CAM性を指標にして, 環境要因がパインアップルのCO_2収支に及ぼす影響の仕方を整理したところ, 仮定のとおりCAM性の低下を通してCO_2収支の改善にかかわる環境要因と, 逆にCAM性の強化を通してCO_2収支の改善にかかわる環境要因の2種類に, 環境要因の影響は類別できるものであった
土の窒素濃度によってもCO2の吸収が変わるようです。
窒素濃度277ppmがいいみたい。
ただ、高すぎてもダメみたい。
バランス良くがいいみたい。
んー、分からんしマグアンプ入れておきましょう。
まとめ
以上をまとめると、
- 日照は10時間にすると良い
- 水は適度にすると良い
- 窒素は277ppm
日照が10時間でもいいことが分かったので、
ベランダで育てている人も10時間を目安に日光を当てる場所を探すのがいいかかもしれません。
CAM植物は意外と育てやすいかもしれませんね。
※すべてのCAM型植物に適応できるは分かりません。参考データ程度に扱い下さい。
参考文献
パインアップルのCAM型光合成に関する研究
http://ir.lib.u-ryukyu.ac.jp/bitstream/20.500.12000/3919/1/KJ00000162261.pdf
CAM植物には長時間日光を当ててはいけないという研究結果 | スーパーサボテンタイム
土壌の水分量とpFメーターの考え方について | 無農薬の野菜苗通販【野菜のナーサリー】